セミナー情報

【2015.12.03】第7回「読む読まないはタイトルで決まる。」

開催概要

  • 日 時:平成27年12月3日(木)18時00分~19時30分
  • 会 場:北海道大学 工学部 フロンティア応用科学研究棟 1階セミナー室(北13西8)
  • 定 員:90名
  • 参加費:無料

一般の方々が読むホームページやパンフレット向けに研究紹介などを書く際、いきなり本文から提示していませんか。新聞や雑誌の記事を見てもわかるように、多くの文章(とくに長文)には、本文の導入となる「タイトル」と「リード文」がセットされています。そうすることで、より多くの方の興味・関心を引くことができ、本文をより深く理解していただく助けになるからです。 

このセミナーでは、広告文章作りに長年向き合ってきたコピーライターの佐々木葉子さんが、タイトル作りのコツを中心にリード文の書き方についてもお話します。プレスリリース作成や競争的資金等の公募にもお役立てください。

講師プロフィール

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佐々木 葉子(ささき ようこ)氏
株式会社オブジェクティフ取締役 コピーライター

旭川市出身。北海道武蔵女子短期大学卒業後、東京・銀座の広告制作会社にコピーライターとして入社。帝国ホテル、銀座三越、JA共済などを担当する。1987年、北海道に戻り、広告制作会社勤務、フリーランスを経て、1993年から現職。サッポロビール、JR北海道、北海道大学、フルテック、札幌市などの仕事を手掛けている。堺屋太一、坂本龍一、浅井慎平、篠田正浩、桂文枝をはじめとする著名人や、道内外企業トップへのインタビュー等も数多く担当。講師として宣伝会議(東京)主催の「コピーライター養成講座」を第1回から長年担当するほか、司会進行では札幌アリアンスフランセーズ「小さな講演会(北海道新聞社論説委員・加藤利器さんを招いて)」などの実績がある。


セミナーレポート

講義を終えて


今回の講義のテーマは、「一般の方に、専門的な文章を読んでもらうためのタイトルの作り方」。当日は、「主役は受け手であることを認識すること」「言いたいことはひとつに絞ること」「タイトルの文章のリズムを整えること」の3点に絞ってお話しました。


 レクチャーをひと通り行った後、北海道大学の2名の教授が書かれたエッセイに、タイトルを付ける演習を行いました。一篇は、フロントガラスの構造を改良するヒントは、卵の殻にあったというエピソードを解説し、「人工物が洗練されてくると自然物に似てくる」との金沢大学名誉教授の言葉で締めくくったものです。もう一篇は、紀元前一世紀、前漢の学者劉向が書いた「新序」にあるエピソードを紹介し、そこにこめられた戒めを現代社会に投げかけたものです。


2篇のエッセイから言いたいことを抽出する作業は簡単だったようですが、受け手に魅力的に伝えるための表現方法では差が出ました。フロントガラスのエッセイのタイトルでは、「ガラスと卵」「ガラスの卵」「生き物に学ぶ」「やわらかいガラス」など、言おうとしていることはわかるものの、受け手に誤解を招くタイトルが多数ありました。一方、「進化は回帰?」「殻からもらった大ヒント」など、興味をそそるタイトルもありました。


劉向のエッセイのタイトルでは、「今も昔も…」「見つめる自分」「政治とはなんであろうか?」など、茫洋としていてつかみどころのないものが目立ちました。教授がエッセイのしめくくりに用いた「薬」という言葉を使用したタイトルも多くありましたが、中でも「薬効二千年」、「政治につける薬」は、受講生の皆さんの拍手による投票で上位2位に残り、「薬効二千年」が最優秀に選ばれました。


タイトルの付け方にもTPOがあります。今回の講義では論文のタイトルは除外しましたが、「三、五、七の単語を使う」「韻を踏む」「格言や慣用句のアレンジ」など、「文章のリズムを整えること」はおおむねのケースで活用していただけるのではないかと思います。新聞や雑誌、テレビ番組のタイトルなどをおもしろがって検証してみる、そうした日々のちょっとした訓練もタイトル作りのスキルを高めるには有効だと思います。


当日紹介されたタイトル例


演習1


  • 自然を見習う技術

  • 割れないガラスやさしいタマゴ

  • 卵の殻とフロントガラス

  • フロントガラスの卵


⇒講師 佐々木さんのタイトル案・・・「卵の殻の功名」


コメント:エッセイの趣旨は、卵の殻が本来持っている機能が、ケガ抑制に繋がるフロントガラスの開発に役立ったというものでした。 「何気なくやったことが意外に良い結果を生むこと」をさす「ケガの功名」という慣用句を用いて、「卵の殻の功名」としました。


演習2


  • 真実は水面に

  • 政治に付ける薬

  • 薬効2000年

  • 過ちを映す鏡


⇒講師 佐々木さんのタイトル案・・・「熱烈似たり、王様の耳」


コメント:エッセイで紹介されていた逸話から、王様の耳はロバの耳を思い出しました。これをモチーフに、エッセイでは中国文学に焦 点を当てていることから、「中国」を連想させる単語を組み合わせました。


当日の様子


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アンケート結果



ご意見・ご感想



  • 講師の方のお話が明快でわかりやすかったです。スライドの作り方や話の展開のしかたも参考になりました。ありがとうございました。

  • 良いタイトルが大事だとは知りつつも、きちんと学んではこなかった。これから長い間生きてくるスキルだと思う。本当にありがたい時間だった。

  • 「リズムを整える」~具体的に話していただき大変ためになりました。実践できる内容だと思いました。

  • タイトルの付け方にコツがあることはわかっていたつもりですが、非常にすっきりまとめていただき納得できました。今後の研究人生に大きく影響を与える気がします。

  • プロのライターさんがつけるキャッチーな見出し。いつもどうやったら?と思っていました。「センス」なんだと思っていましたが、コツがある=技術なんだと知りました。工夫して経験を積んでうまくなっていきたいです。

  • 研究者のためのスキルアップセミナーシリーズは、身近な学内で興味のあるセミナーに無料で参加できるのが魅力です。これからも多面的な切り口での企画、期待させていただきます。